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マッコリ通信vol.10 「『マッコリの日』に寄せて」

『マッコリの日』に寄せて

10月最終木曜は『マッコリの日』だ。
2011年、民間の取り組み、働きかけにより、韓国政府で正式に制定された。
今年は昨日(10月31日)がそれに当たる。

『マッコリの日』を10月最終木曜に定めたのは、
・マッコリの主原料である米の収穫期に合わせた
・木曜を皮切りに、金、土、日曜と週末にかけ『マッコリの日』行事を盛り上げていく
等の意図に拠る。

そして『マッコリの日』以降出荷される、その年の新米で造ったマッコリを『マッコリヌーボー』と定義した。
年末出荷分まで『マッコリヌーボー』とするか、旧正月前までの出荷分を『マッコリヌーボー』とするか、はたまた年度末までとするかは、まだ決まっていない。
※詳細は省くが、いつ出荷分までが『マッコリヌーボー』かの定義は、生産状況から見ると、現状、実質的な意味をなさない。



~2013年産新米を使ったマッコリヌーボー~

『マッコリヌーボー』の案そのものは2011年以前にもあり、実際に製造もされていた。
発案者はソウルでいち早くマッコリバーを開業し、韓国にマッコリバーの認識そのものを浸透させた功労者だが、今はマッコリに関する事業から手を引いている。

しかし『マッコリヌーボー』の概念はそのまま残り、今後『マッコリの日』と共にしっかり定着させる試みが進められている。



~2013年産新米を使ったマッコリヌーボー~



昨日(10月31日)、日韓同時進行で『マッコリの日』イベントが開催された。
発足後間もない『韓国マッコリ協会』と韓国農水省、韓国農水産食品流通公社が音頭を取り、実施に至った。

ソウルでは15時から、ホンデ前の街中で『マッコリヌーボー』試飲行事が盛大に開かれ、
18時から、東京では青山アーキテクトカフェ、ソウルではソウル美術館で同時にイベントを実施、更に東京の映像がソウルで紹介された。

ソウルでは農水省長官や大手マッコリ醸造場経営者等が参加、東京でのイベント概要は下記の通りである。

「日韓共同マッコリの日 広報大使任命式と新米マッコリ試飲会」
<記者発表会>
• 韓国農水産食品流通公社より開催の挨拶
• 業界代表によるマッコリの日制定の意義目的と新米マッコリの説明
• 道場六三郎氏マッコリ1日広報大使任命式&スペシャルトークショー
• 道場六三郎氏フォトセッション
<新米マッコリ試飲会>

新米マッコリ、『マッコリヌーボー』は、数社から20種類以上登場した。
『マッコリの日』当日の『マッコリヌーボー』お披露目であるため、この場で試飲できるマッコリは全て、韓国、日本を含め、初めてお目見えしたものだ。
既存銘柄の新米バージョンが殆どであった中、今回のイベントに合せ製造された新銘柄も数種類出展されたのが、一番の目玉だ。

また「マッコリの日 一日広報大使」道場六三郎氏が、マッコリの魅力や健康の秘訣に加え、「道場オリジナルマッコリ鍋」やマッコリに合うおつまみ等を紹介した。
和の鉄人による、和食とマッコリの共演である。




このように華々しくイベントが行われたのだが、それが華々しければ華々しい程、問題点も浮き彫りになる。

まず第一に『マッコリの日』イベントそのものが、一般には殆ど知られていない。
消費者に向け発信され、ご参加頂いてこそ大きな価値が生じ得るのに、「関係者」ばかりが列を連ねるのは、もったいないの一言に尽きる。
メディアの事後発信に重きを置いたところで、『マッコリの日』の認知には微々たるプラスしかもたらさないだろう。

『マッコリの日』の取り組みが一部メーカーだけの動きとなっている点も、改善すべきところだ。
韓国全土に満遍なく分布するマッコリ醸造場、中でも地方の零細マッコリ蔵には、『マッコリヌーボー』の概念は全く届いていない。
零細、大手限らず、新米を使っても味に変わりがない、そこに果汁などを加えると更に意味がないと公言する経営者も多い。

冒頭に述べたように、民間の働きかけにより『マッコリの日』が制定されはしたが、行政が「お決まり」の一部マッコリメーカーとしか接する術を持っていないため、著しい偏りが発生しているのが、決定的なマイナス要因である。


韓国人のほぼ全員が、まだ『マッコリの日』について知らない。
「10月最終木曜日は『マッコリの日』だ。」と話しても、「そんな日はない」と返ってくるだろう。
その程度の認識だ。
マッコリに関わる企業、団体、行政の足並みが全く揃ってないので、当然の事だろう。
『マッコリの日』が制定されてまだ間もないので、これから頑張れば良いだけの事ではあるが。

木曜から週末にかけて『マッコリの日』を盛り上げていく意図について上に記した。
韓国では金曜以降、マッコリ専門店20~30店舗が共通の懸垂幕を掲げ『マッコリヌーボー』を発信するが、意図したような「週末にかけての盛り上がり」には至らなさそうだ。

『マッコリの日』が2011年に制定されたため、昨年2012年が、初めて『マッコリの日』行事が実施された年となる。
昨年はソウルワールドカップ公園で、広大な公園を埋め尽くすほどの規模で「マッコリ大祝祭」が開催された。
京畿道、江原道から済州道まで韓国全土のマッコリが地域別に、先が見えないほど数限りなく並べられ、マッコリの大家、名人と言う名人が集結した、まさに一大行事であった。
が、残念な事に「マッコリの日常への浸透」に於いては、目に見える貢献は出来なかった。

昨年のこの結果は、今年のイベント規模縮小にも影響している。

更には米余りをどうするか。
多くの「先進国」がそうであるように、韓国もまた、国内米産業の振興策もままならないまま、各国から米を大量に輸入している。
輸入米、古米・・これらの消費にどう応えるか。

韓国では米ラーメン等の加工品も活発に開発されてはいるが、現在、米を円滑に消費する最も強力且つ有効な手段は、『マッコリの生産』に他ならない。
マッコリの安定的な生産、消費なしでは、米価格の暴落も招き兼ねないだろう。

こうした背景を踏まえ、農家とマッコリ蔵を全国的に結びながら、『マッコリの日』と『マッコリヌーボー』は語られなければならない。

マッコリ醸造場自体から聞こえてくる「新米なんてどうでもいい」と言う論調にどう応えるかは、高い壁となり立ちはだかっている。


とは言え『マッコリの日』の取り組みそのものは至って前向きな事であり、通年で事業を推し進めつつも『マッコリの日』を一つの節目とするのは、日韓、世界へのマッコリ普及に邁進する良い契機にも成り得るだろう。

米余りの問題とは別に、新米にこだわる姿勢、良いものを消費者へお届けしたい気持ちがどんどん広がっていき、一つの標準となるよう力を尽くしたい。

イベントを企画した『韓国マッコリ協会』副会長の蔵で造られるマッコリには、2007年から既に、その年に収穫された新米のみが使用されている。
この点における、まさに先駆者である。

今回の企画者と共に、来年はあらゆる団体とより広範に連携を取り合い、日韓の多くの消費者を交え、消費者と『マッコリの日』を楽しむ場を共有できれば、より大きな成果が得られるのではないか。



~『マッコリの日』イベントにて、マッコリメーカー経営者等と共に~

昨日(10月31日)の『マッコリの日』に合わせ、生マッコリを中心とした通販サイト、『eマッコリ』を開設した。
正確には、復活させたが正しいか。

http://e-makkori.com/

かつて『eマッコリ』は、
・日本で始めて生マッコリをウェブで販売
・マッコリ通販売上一位
・「マッコリ」で検索するとグーグル、ヤフー等で最上位に表示される
等、実績あるサイトであったが、一度通販を中止していた。

この素晴らしい資源を活かし、新しいサイトへと変貌を遂げ、再始動させる試みだ。

まだ一部のマッコリのみ販売可能で、取扱うマッコリは順次増やしていくが、情報も殆どなく、首都圏でだけ限定的に流通され、ネット上では流通していないマッコリを、その中でも厳選したマッコリだけを、生マッコリを中心に取扱っていく。

ネット上でほぼ販売されていないのもそうだが、何より『eマッコリ』に並ぶメーカー各社の錚々たるマッコリを、一度に購入できるサイトは、他に存在しない。
各メーカーより選りすぐりのマッコリを一本ずつ選択、購入できると言うのは画期的な事だ。

全国津々浦々、どこへでも同じ条件で、消費者の皆様へ美味しいマッコリをお届け出来る。
これで東京近郊と他地域の格差が一つ解消され、小さくとも一つの目的が果たされる。


『マッコリの日』を機に改めて、より充実した『マッコリ環境』を築いていければ何よりだ。


マッコリ協会
金在浩

※なお、本稿に関するご意見やお問い合わせ等は下記までご連絡ください。
「マッコリ協会事務局」:makkorikyoukai@yahoo.co.jp


2013/11/01 18:36:44 入力



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